奥さんよー、
オイラがとっつかまってさぞかしうれしかっただろう。
いろいろ驚かしたり不安にさせたりして悪かったな。
オイラ、ちょっと調子にのりすぎてたもんな。
だけど、奥さん。
アンタの手料理はちょっとしたもんだったぜ。
オイラのソンザイカチのつもりで夜中にウンコをまきちらしちまったけど、
アンタにとっちゃあ、ただのサルモネラ菌だもんなあ。
アンタの亭主はいいヤツだ。
オイラ、保証するぜ。
おや、うれしいんじゃないのかい?
オイラを見つめる目がちょっと悲しそうだぜ。
このブザマなカッコみて、笑ってたっていいんだぜ。
さんざん奥さんを苦しめたお礼だ。
演歌でも歌おうか。
踊りもみせてやりたいが、この足じゃよう、
奥さん、
ダンナが呼んでるぜ。
行ってやんな。
これもなんかの縁だ。
明かりを消しておくれ。
アンタのせいじゃない。
アンタのせいじゃない。
オイラのせいでもない。
オイラが悪いわけでもない。
悪くないな、この人生。
ひと足先にいってくるぜ。
またな。